美味しい牛肉といえば、思い浮かべるのはキメ細やかなサシが入った、とろけるような口どけがよい霜降り肉といったところでしょうか。
今まで、日本の牛肉料理は多くがすき焼き、しゃぶしゃぶといった薄切りにした牛肉を使ったのが殆どでした。そして、これらの料理をおいしくいただくうえでうまくマッチしていたのが、黒毛和牛の霜降り肉だったのです。
ところが昨今、赤身肉に目覚める人が増えてきていて、今までの霜降り肉から肉本来の味が堪能できる赤身肉へと巷でブームになっています。赤身肉への注目度が高まった要因の一つに、焼き肉で希少部位のミスジやシンシンなど人気が出た部位が赤身肉だったことにも依るそうです。
赤身肉とは、真っ赤な筋肉質で、脂肪はあくまでも少なく、噛み応えのある食感の肉です。部位別では、ヒレはもちろん、ランピ、イチボ、内モモ、外モモ、シンシン、そして肩肉などが該当します。
一方、牛の品種別では、「土佐あかうし」や「短角牛」、輸入牛の「オージービーフ」などは脂肪がほとんど入っていない赤身肉で、むしろ世界ではこれが主流となっています。
赤身肉の魅力は何と言っても、やはり味の濃さ、香り、食感、そして肉汁の透明感です。特に、赤身肉の持ち味を最大限に引き出す調理法は「塊焼」。丁寧に焼き上げられた牛肉は、しっかりとした噛み応えがあり、噛みしめるうちにジューシーな肉汁がにじみでてきます。サシがない分、しつこくなく、部位ごとの肉の違いや風味などがストレートに味わえるのも赤身肉ならではの楽しみです。
実は、日本において赤身肉ブームは過去に何度かありました。
- 2000年・・・サブトン、イチボ、シンシンなど、希少部位のブームが起きる。
- 2005年・・・食通の一部が赤身の旨さに気付く。これ以降、その人気が拡大。
- 2010年・・・熟成肉ブーム起きる。有力点がオープン。
- 2014年・・・骨付き肉の解禁と同時に、Tボーンブームが到来。
最後に赤身肉の素晴らしい点を3つ挙げておきます。
1.低脂肪高タンパクで、ヘルシー!
霜降り肉は健康面が気になる方にとって、ややリスキー。その一方で、赤身肉は低脂肪で栄養価が高く、カルチニンなどの働きでヘルシー面でも効果が期待できる。
2.肉自体の本当の味は赤身肉にある!
肉食文化の本場である欧米では、肉を味わうのなら赤身を噛むべし・・というのは常識。赤身肉には、味が濃く、噛みしめると旨さがあり、肉本来の旨みをじっくりと味わうことができる。
3.胃もたれしないから、サッパリ食べられる
ただ単に量の問題ではなく、200g以上の塊肉を食べるのなら、サッパリした後味の赤身肉が望ましい。
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